☆ご馳走か毒か?☆

「ごちそうさまでした」
いつもの夕食が終わる。
セイバーと遠坂は満足っといった感じで俺の作った料理を食べ終えていた。
「本当、衛宮君て料理上手いのね」
「ん?普通だろ、今じゃ桜に抜かれようとしている腕だし。」
喋りながら食器を片付ける。
「あいつ、この味を食べないなんて勿体ないわね」
「「あいつ?」」
セイバーと一緒に疑問の声を出した。
「屋根の上で見張りを頼んでるあいつよ、サーヴァントだからって食べない
で平気なんて言うのよ」
「アーチャーですか、確かに魔力の供給がうまくいってるなら問題ありませ
んが…」
シロウの作った物を食べてないなんて確かに勿体ない。と付け足してセイバ
ーは俺の方を見た。
「んー確かに何も食べないなんて物足りないだろうな…」
よし、とエプロンを手に取った。
「衛宮君?」
「シロウ?どうしたのです?」
「余り物で大した物は作れないけど何か作って持ってく」
と、キッチンに向かった。


屋根の上、一人見張りを続けるアーチャーの姿があった。

「衛宮士郎と共闘と言うのは了解したが、何もこの家に住み込む事は無いと
思うのだが…」

知りすぎている家。
自分の原点。
自分の本当の目的を果たすには此処はあまりに懐かしすぎる。

「おーい、アーチャー此処にいるか?」

下から家の主の声が聞こえて来た。


「ああ、此処にいるが、どうした?」
姿を現わすアーチャー。それを見付け、
「夜食持ってきた」
と目の前の驚いた感じのサーヴァントに弁当箱を差し出した。
「夜食…?」
目の前に差し出された弁当箱を見つめるアーチャー。
「あぁ、何も食べないなんてつまらないだろ?遠坂だって言ってたぞ」
「…毒など盛っておらんだろうな?」
「失礼な事言うな!!みてろよ」
と、包みを解き、中の卵焼きを食べてみせた。うん、我ながら良い出来だ。
「な?何ともないだろ?いいから食べてみろって!」
とアーチャーに差し出した。
「そこまで言うなら食べてやらん事もないが…」
いちいち癪に障る言い方しやがって。
とか俺が思っている間にアーチャーが卵焼きを口に入れた。
「どうだ?」
感想を待つ。アーチャーは少し考えた後、
「50点」
と答えた。
「…え?」
「甘すぎる。もう少し砂糖を抑えた方がいい」
「あぁ、確かにそうだけど…セイバーはその辺りが好きなんだ」
と反論してみたが、一度認めている事に気付く…。まぬけ。
まぁ、50点でも半分だから良い評価だよな、などと自己満足している内
にアーチャーは弁当箱を空にしていた。
「不味くはなかったな、まぁ腹の足しにはなった。」
「そうか」
こいつはどこまで捻くれてるか!!
ぶつぶつと文句を言いながら弁当箱を受け取る。と、
「もし、次に差し入れをするならお前の好きな味で頼む」
なんて注文を付けてきた。…俺の好きな味付け?
「俺の好きな味でいいのか?お前の好きな味は?」
「衛宮士郎の好きな味でいい」
?まぁ俺の好きな味ならすぐ出来るけど…
なんか、変な感じだな??
何がどう変なのかは分からないが一応、
「分かった、もし明日もこんな日なら作ってくるよ」
と了解した。


弁当を持って来た男を見送る。

「やはり毒だったか…」

懐かしい味。
多分、自分もまだ作れる味。

「もしも、次があるなら、か…」

自分でも無意識の内に出ていた言葉。懐かしい味を一度食べれば嫌でもも
う一度食べたくなる…やはり毒だったな。

空になった弁当箱を持って帰りながら俺は考えていた。
「俺が好きな味って事は俺が好きな物作ればあいつは喜ぶんだよな…?」
嫌な奴でも俺の作った料理を食べて喜んでくれるなら俺も嬉しい。
「よし!明日はもっと美味しい物作るぞ」


と、はりきっていたらその夜…遠坂に明日の夜は他のマスターを捜しに行
くと言われた。…残念。


あとがき

絵描きはおとなしくマンガ描いとけって文でしたね…(汗)
これを元に描いたマンガがあったりしますので興味のある方は私書箱まで。
とりあえず、士郎の作る料理は食べる人によって御馳走にもなるし毒にもな
るって話。
いや本当はアーチャーにとっても御馳走なんですよ、でも多分アーチャーの
方が美味しい料理作れそうな気がするなぁ(汗)
オチ、凛の好きな事は士郎いじりですから、勿論、確信犯です。

感想など頂けると嬉しいです、感想書ける文でもないような…(滝汗)