まだ目の前で繰り広げられるサーヴァント同士の打ち合い。
この惨状を止めるには俺が1人のサーヴァントを選ばないといけないら
しい…。
で、セイバーはダメだと天から声が聞こえる。
それなら…
「俺のサーヴァントは…アーチャーだ」
ピタっと動きを止めるサーヴァント3人。
「なっ?シロウ正気ですか!シロウの剣となり戦うのは私しか…」
「シロウ?なんでこんな嫌味な奴を選ぶんだよ!オレにしとけよ」
「何の冗談だ衛宮士郎、貴様をマスターにする気はないぞ?」
冗談って俺が言いたいよ。
でも俺はアーチャーがいいんだ!
「そりゃ俺もお前をサーヴァントにする気はないよ、でも…ただ傍に居
て欲しいとか言うのはダメかな…」
「なっ…貴様どうかしているぞ、私達は相容れない存在だ」
「だけどさ、ここじゃ別に命のやり取りしなくていいだろ?それに俺の
事賭けてアンリと勝負してたじゃないか。」
「む、それは…貴様がアヴェンジャーに触れられるのが嫌だったからで
他意はない…」
……それってさ…
「つまりアーチャーは衛宮君が大事って事でしょ?」
「そうですね、今の言い方はそうなりますね」
なんて我関せずなマスター2人が冷静に分析している。
「そんな訳でアーチャー置いてくから〜セイバーはこっちで引き取るわ
よ〜♪」
「凛!?私はシロウのサーヴァントですよ!?」
「いいのよ、サーヴァント交換ってだけで、セイバーのマスターは士郎
よ。でも普段は私と一緒。士郎はアーチャーが守ってくれるから」
「う…確かに凛と一緒の方が服などの買い物は行きやすいですが…」
「ご飯はここに食べに帰っていいから」
「なる程、そう言う事なら私は凛に従います」
うわー…セイバーもしかしてここを出るの飯の心配をしてか?
まぁ遠坂に任せておけば悪いようにはされないだろう。
「えーセイバーそれでいいのかよ〜。大事なシロウをこんな怖い兄ちゃ
んに任せていいのかよ〜」
問題はこっちの駄々っ子かな。
「アンリ、無茶を言うものではありません」
「だってマスター、オレはシロウに逢いたくてこの夢続かせてるんだぜ
?そのオレが夢を叶えられないってこんな理不尽あるかよ」
「しかし賭けに負けたのは明らかですよ?」
「うっ…シロウはアーチャーを選んだけど…オレはまだアーチャーに勝
負で負けてないぜ」
素直に表情を泣き顔に変えてこっちを見るアンリ。
そんな顔されたら俺は…
「アンリ…あのな、お前が嫌いとか…じゃ」
なくて。と続くはずだった言葉を遮られた。
後から抱き付いてきたアーチャーに口を塞がれたのだ。
ってなにすんだよ!!!!
「…ん…っく…」
皆が見てるのにお構い無しに舌まで入れてくる。
恥かしいやら息苦しいやらで…
「こういう事だ、アヴェンジャー。衛宮士郎は諦めろ。これは私のもの
だ」
散々人を弄んで満足したのかアーチャーが離れた。
それを見ていたアンリ。
大きく溜息をついて
「はぁ、分かったよ。オレが身を引けばいいんだろ!!だけど時々は遊
びに来るからな!その時シロウをちゃんと見張っておかないとオレ何
するかわからねーゼ?」
「私がそんな事させると思うか?」
「思わねぇ、だからあんたの隙をついてくるさ」
随分物騒な話してるな。
でも、さっきので何も言う気力が残ってない;;
とかやり取りを済ませた後アンリはバゼットさんと大人しく帰っていっ
た。多分、毎日遊びに来ると思うけど。
そんな訳で衛宮邸に安息の日が来るのはまだらしい。
だけど傍にはアーチャーがいる。
それが少し嬉しくて…
幸せだとか思えた不思議な夢の話。
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